VOL13.2026年春・長期 大邱大学校(韓国) 竹本 好汰

はじめに

大邱大学校での留学生活が始まって1か月が経ちました。
私は2学期間(1学期2.5か月)、合計5か月間滞在する予定です。短い期間だからこそ、日々の学びを流さず、初月の出来事と気づきを整理して記録しておきたいと思います。
これから大邱大学校への留学を考えている方にとって、少しでも参考になればうれしいです。

授業開始

1学期目の授業が始まり、多国籍クラスで感じた教室での文化の違いについて書きます。

私はクラス分け試験の結果、3級からのスタートとなりました。授業では、TOPIKに出題される中級レベルの文法や語彙を学んでいます。クラスの構成は、モンゴル4人、中国3人、ベトナム3人、コートジボワール1人、ペルー1人で、日本からは私1人です。学校全体としてはモンゴル・中国・ベトナム出身の学生が多く、逆に日本人はソウルにある大学と比べると少ないほうだと感じます。

教室では先生を囲むように、“コ”の字で席が配置され、各席の前には大きく名前が書かれた紙が置かれています。私のクラスは1週間に1回席替えがあります。
多国籍な環境そのものも新鮮ですが、私が特に「不思議な空間だ」と感じる時が多々あって、特に国籍の違い以上に、教室内にある価値観が日本と大きく異なっていた時です。
例えば発表の場面では、日本では手を挙げて指名されてから話す形式が比較的一般的だと思います。一方、このクラスでは手を挙げずに発言することが自然に受け入れられており、先生もそれを前向きに受け止めている様子です。また、質問を多くする人は授業に積極的として評価され、自主的に学ぶ姿勢が強く歓迎されます。
静かに理解することよりも、自分から試すことが学びに繋がるという前提が明確で、語学の授業として合理的だと感じました。1か月が経った今では私もかなり慣れ、友人たちに負けずに発言し、分からないところは積極的に質問しています。

授業について

先生は2人体制で、月曜日担当の先生と火〜金曜日担当の先生がいらっしゃいます。
特に火〜金曜日担当の先生の授業は、初回から明るく、緊張を和らげてくださる印象的なものでした。声が聞き取りやすいだけでなく、絵や写真など視覚的な情報も多く、意味を具体的にイメージしながら理解できます。さらに、似た文法との比較を丁寧にしてくださるため、「どこが同じで、どこが違うのか」が整理しやすいです。質問しやすい雰囲気も作ってくださっており、その結果、クラス全体の会話の機会が増えています。1か月が経った現在では、国籍に関係なく打ち解けやすくなってきたように感じています。ちなみに先生の口癖は「皆さん、これ難しいでしょう!どんどん質問してください!」です。

ある日の出来事

3月の2週目から3週目にかけて、5℃を下回る寒い日が続きました。私は授業中も暖かい服を着て受講していたのですが、モンゴルの友人4人は半袖で、「暑い」と言って窓を開けることがありました。正直なところ私は寒さのため窓を閉めたい気持ちでいっぱいでした。
そのとき先生が、「夏が暑いことで有名な大邱で、今半袖ならどうやって生きていくの!」と呆れ半分で突っ込んでいて、思わず笑ってしまったのを覚えています。
しかし、その出来事が会話のきっかけになりました。「モンゴルはもっと寒いよ。」と教えてもらい、そこから食べ物や服装の話に広がって、韓国にいながらモンゴル文化について知ることができました。語学の教室は言葉を学ぶ場であると同時に、生活感覚を交換する場でもあるのだと実感し、新たな魅力を発見しました。

1か月過ごして感じたこと

日本での大学生活では、普段の授業に加えて興動館プロジェクト活動やアルバイト、一人暮らしの家事が重なり、「勉強したいのに時間が削られていく」ように感じていました。
一方、現在の生活では韓国語に集中できる時間を確保しやすく、5か月でTOPIK5級を取るという目的のために、しっかり行動できるようになりました。
せっかくの留学なので、悔いが残らないように、挑戦してみたいことには失敗を恐れず取り組み、すべてを経験として積み上げていきたいと思います。

TOPIKに向けた取り組み

今月の挑戦の一つとして、これまでほとんど書いたことがなかった作文に、週3枚以上取り組んでいます。7月にTOPIKを受験予定のため、筆記対策の学習を進めています。
先生は「課題ではない」とおっしゃりながらも、700文字の作文用紙を配ってくださり、私はそれを書いて提出し、添削していただいています。

日本にいたときは韓国語でまとまった文章を書く機会がほとんどなく、当初は1本書くのに1時間以上かかって、500文字程度を書いて提出していました。しかし1か月が経ち、作文を書くことが習慣になった今では、途中でペンを止めずに700文字を書き切ることを意識できるようになってきました。
また、似た意味の単語でも、より正確で難度の高い語彙を適切に選べると得点につながると聞きました。そのため授業で学んだ難解な語彙を意識的に取り入れ、添削で不自然な部分を修正していただきながら、表現の幅を広げつつ自分なりのテンプレートを作っています。

授業では、習慣(습관)と癖(버릇)の違いについても学びました。長く続ける中で一般的に良いと言われるものが「習慣」、直していくべき課題が「癖」だと教えていただきました。「習慣を育てる(습관을 기르다)」「癖をなおす(버릇을 고치다)」の2つは、3級で学ぶ言葉の中でも先生が大切にされている表現だそうです。私も、作文を書くことを通して韓国語に少しでも多く取り組む良い習慣を育てていこうと、そのとき心に決めました。

中間・期末テストを終えて

中間テストと期末テストが実施されました。どちらもTOPIKと同様の形式で出題され、内容としては3級レベルが中心だったと感じました。授業で扱った内容をしっかり理解していれば、そこまで難しいものではなかったと思います。また、日本の大学の試験と同じように、先生が授業中に「重要だ」と強調されていた表現や単語が数多く出題されていました。改めて、日々の授業に真剣に取り組むことの大切さを実感しました。
期末テスト終了の翌日には修了式が行われ、クラスメイト同士で手紙の交換をしました。約2か月半、毎日同じ教室で一緒に勉強してきた友達達との時間はとても充実しており、今振り返ってもかけがえのない思い出です。お互いの国のお菓子を交換したり、授業後に遊びに行ったりと、勉強以外の時間も含めて濃い時間を過ごしてきた分、別れのときは寂しく感じました。

大学祭

1学期と2学期の間には大学祭が開催されました。会場では歌手の公演や各学科・サークルによる屋台が並び、最終日には美しい花火も打ち上げられるなど、とても活気のあるイベントでした。
私は当初、見学だけの予定でしたが、お世話になっている職員の方に声をかけていただき、日本人留学生の屋台を手伝うことになりました。同じ「留学生」でも、私のように語学堂に通う交換留学生だけでなく、4年間学部に在籍する正規留学生もいて、さまざまなバックグラウンドの人と関わる貴重な機会となりました。
屋台では「みたらし団子」と「抹茶わらび餅」を販売し、私は主に装飾と団子作りを担当しました。広島経済大学の学祭では、興動館プロジェクトのインドネシア国際貢献プロジェクトに所属していたこともあり、毎年インドネシアの商品を販売していましたが、食べ物の屋台に関わるのは今回が初めての経験でした。
実際にやってみると、予想外のハプニングや慣れない作業で大変なことも多くありましたが、それ以上に得るものが大きく、とても貴重な経験になりました。特に、学部生の方から普段は聞けないような話を聞けたり、屋台を通じて韓国人の方と新しく友達になることができたりと、多くの出会いがあり、「参加してよかった」と心から感じました。

来学期に向けて

来週からは新しい学期が始まります。クラスや環境も変わりますが、新たな出会いがあることを楽しみにしています。これまでの経験を活かしながら、引き続き韓国語の学習に励み、さらに成長できるよう努力していきたいと思います。

5級クラスでの挑戦

5月18日から新学期が始まり、私は大邱大学校の語学堂で5級クラスに通うことになりました。通常であれば3級を修了した後は4級に進級しますが、前学期に3級の授業を受けながらTOPIK対策にも取り組み、4級の内容を自分で予習していたこと、また3級の期末試験の結果が良かったことなどを考慮していただき、特別に5級クラスで学ぶ機会をいただきました。
5級の授業は、3級の頃と比べて単語の量も難易度も大きく上がり、毎日の予習と復習が欠かせません。3級の時は、先生方の話をほぼすべて理解できていましたが、5級では事前準備をしてようやく授業についていけると感じる場面もあります。正直、4級に進んだ方がよかったのではないかと弱気になる日もありました。しかし、以前から強く希望していた韓国留学も残りわずかであることを考え、後悔しないように最後まで挑戦し続けようと決めました。
5級クラスでは、3名の先生方に教えていただいています。
月曜日と火曜日を担当してくださる先生は、いつも笑顔でとても優しいのですが、優しすぎて少しお節介な一面もあり、クラスのみんなのお母さんの様な存在です。大邱出身の先生で、時々授業中に方言を使われることがあり、標準語とは違う韓国語の面白さを感じることもあります。また、大学院では英語を専攻されていたそうで、新出単語を説明する際に英語を交えて教えてくださることもあり、韓国語で英語を学ぶような不思議な経験もしています。
水曜日を担当してくださる先生は、TOPIKでどのような問題が出るのか、どのように解くべきなのかを授業の中で具体的に教えてくださいます。また、授業中に韓国語を話す機会を多く作ってくださり、一度の発表で1人5分以上話すこともあります。私は積極的に話したい性格なので、先生と目を合わせて当ててもらえるようにすることもあります。韓国語で考え、韓国語で自分の意見を伝える練習を重ねる中で、以前よりも会話に対する自信がついてきました。

ベトナム人の友達がくれるコーヒー

木曜日と金曜日を担当してくださる先生は、授業中は厳しさもありますが、休み時間にお菓子をくださるような温かい一面もある先生です。授業中に私語があるとしっかり注意してくださるため、真剣に学びたい私にとってはとてもありがたい存在です。また、中国への留学経験がある先生で、漢字への理解も深く、単語を説明する際に、中国人学生や日本人である私に対して漢字を使って補足してくださることがあります。韓国語の多くは漢字語に由来しており、私は単語を覚える際に漢字の意味とハングルを結びつけて学習する習慣があるため、とても助けられています。
クラスメイトは、ベトナム人6人、中国人5人、インドネシア人1人、タジキスタン人1人、ウズベキスタン人1人、そして日本人は私1人という、多国籍な環境です。国籍はさまざまですが、クラス全体の雰囲気はとても良く、互いに助け合いながら学んでいます。
ベトナム人の友人とよく会話をしており、日本のアニメが話題になることも多くあります。私よりも日本のアニメに詳しい友人もいて、アニメで覚えた日本語を披露してくれることもあります。会う度にベトナムのコーヒーをくれる親切な友達です。また、インドネシア出身の友人には、私が以前、興動館プロジェクトのインドネシア国際貢献プロジェクトを通して学んだインドネシアの文化や、実際に現地を訪れた経験について話すことで仲良くなりました。中国人の学生とは、名前に使われている漢字の意味や、日本語と中国語での漢字の違いについて話すこともあります。
このように、韓国語を学ぶだけでなく、互いの文化や考え方を知ることができる点も、留学の大きな魅力だと感じています。

韓国人学生との交流とバディ・バディプログラム

語学堂は韓国語を学びたい外国人学生が多く通う場所であるため、韓国に留学していても、毎日自然に韓国人学生と話す機会が多いわけではありません。そのため、韓国人学生と関わるためには、トンアリと呼ばれる日本のサークルのような活動や、国際交流プログラムに自分から積極的に参加することが大切だと感じました。
私は、日本人が一人もいないボランティアのトンアリに参加したり、大学で実施されている「バディ・バディプログラム」に参加したりすることで、韓国人の友人を作ることができました。
バディ・バディプログラムは、外国人留学生数名と韓国人在学生2名で1つのチームを作り、韓国語や韓国文化を学びながら交流を深めるプログラムです。外国人留学生が大学生活に適応できるよう、キャンパス施設の利用方法や生活圏の案内なども行われます。また、大学が食事代を支援してくださるため、一緒に食事をしながら自然に仲を深めることができます。
実際に参加してみて、本当に良い経験になったと感じています。韓国人の友人ができただけでなく、大邱大学に正規留学生として学部入学している外国人学生や、とても優しく話しやすい友人とも出会うことができました。授業だけでは得られない人とのつながりを作ることができたことは、留学生活の中で得た大きな財産です。

クラスメイトと食事中①
クラスメイトと食事中②

TOPIK対策を通じて身についた学習習慣

6月は、ほぼ1か月間、学校の中だけ生活を送り、TOPIKの勉強に集中しました。キャンパスの中だけで生活できるほど大邱大学は大きいし何でも揃っています。私は寮の中では完全にリラックスしてしまい、なかなか集中して勉強できないタイプです。そのため、毎日授業後は図書館に通い、勉強する環境を自分で整えるようにしました。
大邱大学の図書館は23時まで利用でき、学部生の試験期間には24時間開放されます。韓国人学生は6月末に期末試験があり、その後から夏休みに入るそうです。韓国では3月に新学期が始まるため、日本の大学生よりも1か月ほど早く夏休みが始まるそうです。
試験前の図書館は朝から晩まで学生でいっぱいになり、その姿を見て、私も韓国人学生に負けないように勉強しようと刺激を受けました。
図書館は1階から5階まであり、用途に合わせたさまざまな空間があります。1階にはPCを使って学習できる環境や、疲れた時に休むことができるスペース、教室と同じような机や教卓が配置された空間があります。2階から4階には本や自習室、休憩室、給水器などがあり、私はよく2階で勉強していました。5階には一人用の学習机が多く設置されており、とても静かで集中しやすい場所でした。

図書館内の教室のような環境
寝転がれるスペース
1人用机

TOPIK本番を終えて

TOPIK会場の大邱大学

7月5日には、待ちに待ったTOPIK本番の試験を受けました。試験会場は、普段通っている建物のすぐ近くにあり、いつも通り学校に登校するような気持ちで向かうことができました。大学が団体で申請してくださったため、通常よりも安く受験することができ、とてもありがたかったです。
試験では、自分ができることをすべて出し切ることができました。結果はまだ分かりませんが、留学に来てから自分でも驚くほどのスピードで韓国語力が伸び、勉強に対する姿勢も大きく変わりました。結果だけでなく、試験に向けて毎日努力し続けた過程そのものが、自分にとって大きな成長だったと感じています。
帰国後は、専攻の勉強や就職活動など、大学生活の中で取り組むべき課題がまだ多く残っています。次はそれらに集中して取り組みたいと考えています。また、私が所属しているゼミでは、卒業論文のテーマを自由に設定することができ、自分ならではの結論をしっかり書き切ることが重視されています。大学3年次には、専攻であるITに関連して「航空業界におけるDXの可能性と課題:ITによる顧客体験の生まれ変わり」というテーマで論文を書きました。
今回の留学では、5人の韓国語教育の先生方から、韓国語の効率的な勉強方法、TOPIKの特徴、おすすめの教材など、ここでは書ききれないほど多くのことを学ぶことができました。そのため、次の論文では、留学中の学びや自分自身の経験をもとに、「韓国語能力試験(TOPIK)高得点取得に向けた効果的な学習法」というテーマで研究してみたいと考えています。

5級代表としてインタビューを受けた経験

授業中に発表を行う竹本君

7月10日には、とても嬉しく、同時に緊張する出来事がありました。6級の先生が私のクラスに来られ、「5級の中で一番話すことが上手だと担任の先生から推薦を受けたので、インタビューを受けてほしい」と声をかけてくださいました。修了式で全クラスに向けて流す動画を作成するため、今学期に感じたことや、クラスのみんなに伝えたい言葉について質問されました。
私は、3名の担任の先生方とクラスメイトのおかげで、毎日楽しく幸せに学校へ通うことができたこと、今学期が終われば日本に帰らなければならないけれど、大邱大学で出会った人たちのことを忘れないという気持ちを伝えました。修了式の日にその動画が流れると思うと今から緊張しますが、自分の韓国語で感謝の気持ちを伝えることができたことは、大きな自信になりました。
また、別の先生からは、韓国語の会話力を伸ばすために意識していることについて質問していただきました。私は、授業で習った単語や文法を、できるだけ早く韓国人の友人との会話の中で使うようにしていると答えました。韓国語は、文字で読む時と実際に話す時では発音やリズムが異なるため、知識として覚えるだけでなく、会話の中で瞬発的に使えるようになることが大切だと感じています。普段から心の中の独り言は全て韓国語で考えて分からない単語がある時には、単に翻訳機で意味を調べるのではなく、AIを活用して、似た意味の単語、反対語、漢字語、TOPIKで出題されやすい例文、実際に使う際の注意点などをまとめて確認するようにしています。自分に合った学習方法を工夫することで、単語をただ暗記するのではなく、実際に使える知識として身につけることを意識しています。


留学生活も残りわずかとなりました。残りの期間も、韓国でしかできない経験を大切にしながら、多くの人と関わり、たくさん学び、悔いのない留学生活にしたいです。