VOL7. 2022年春・長期 大邱大学校(韓国)江口 龍斗

2022年3月

韓国語授業1

入国し1ヶ月弱が経過して、ついに語学研修がスタートしました。学期前に行われたレベルテストで、レベル2のクラスからスタートになりました(全6段階)。使用しているテキストとワークブックはソウル大学のものでレベル別で分けられているので、級が変わればまた買うことになります。価格は52,000ウォンほどで、少し高いなと感じました。教科書は韓国語ですが、その下に英語で文章が書かれている場合も多く、英語が分かる人なら問題なく読めると思います。私は英語が苦手なので、オール韓国語で頑張っています。

韓国語授業2

私のクラスでは月火と水木金でそれぞれ担当の先生がいらっしゃいます。先生は韓国語しか話しませんし、母国語禁止です。教科書に出てくる単語はもちろん、先生が使っているけど分からない単語はメモしておいて、休憩時間や寮にてスマホで調べてノートに練習するようにしています。オール韓国語だと心配になるかもしれませんが、先生がジェスチャーやイラストを交えて丁寧に教えてくださるので、しっかりと聞けば理解できます。
私は、学期が始まって最初の数日は緊張もあってか先生の話していることを聞き取るのに苦労しましたが、今ではすっかり何の話をしているか分かります。耳が慣れてくるということに驚きました。韓国語能力試験(TOPIK)の2級を取得していましたがそれでも知らない単語や文法がたくさん登場するので、レベル2の授業というのは、2級レベルの人が3級に挑戦するためのクラスだと思います。

1クラス大体11人くらいで編成されていて、私のクラスには日本人は私しかいません。中国,ベトナム,モンゴル,カザフスタン等の様々な国からやってきた学生と一緒に勉強しています。日本人と違い授業中に分からないことがあれば恥ずかしがらずに質問するし、問題を間違えても堂々としています。ペアワークをする時も気さくに話してくれるし、休憩時間にはお菓子をくれることもあるし、フレンドリーな人が多いなと感じます。休憩時間には雑談もします。もちろんクラス内での共通語である韓国語で一生懸命話します。分からない表現はスマホで調べながら会話を楽しんでいます。授業はもちろん大切ですが、プライベートな時間で会話の練習をすることもかなり練習になると感じます。
授業とは少し話が逸れますが、私は買い物や食事へ行った際に積極的に店員さんへ話しかけるようにしています。探している商品の場所や価格を聞いたり、飲食店での注文をメニューの指差しだけでなく言葉で伝えたりと、自分の声で意思疎通をする練習をしています。

教科書に登場した単語と先生が説明で使っていた単語は、ノートにひたすら書いています。知っている単語が増えると先生の説明がより分かりやすくなって楽しくなってきます。そして覚えた単語や文法は声に出して実際に使うことで定着するように頑張っています。
この語学研修は全部で春夏秋冬の4学期に分かれています。現在私が受けている春学期は3月にスタートして5月上旬に期末試験があります。そこで合格できれば一週間の休みを挟んでレベル3のクラスに進級することができます。夏学期は7月下旬に期末テストをして終了予定です。私は何とかレベル3のクラスもクリアして、帰国後のTOPIKで良い成績を出したいと思っています。

2022年4月

クラスメイト

左からマユリ(インド)、江口(日本)、アリゴ(モンゴル)、シュィトン(中国)、ジャヤ(モンゴル)

クラスメイトとはとても仲良くしています。前回も触れましたが、私のクラスは多国籍で、中国,モンゴル,インド,ベトナム,カザフスタンの学生と一緒に勉強しています。以前エジプトの学生もいましたが、現在は別のクラスへ移動しました。2週間ほど前に中間試験が終わり、皆だんだんと韓国語力が付いてきたので、前よりも気軽に雑談できるようになりました。今は、おふざけした時の写真しか手元にないのですが、また今度他の友達も入れた別の写真を載せようと思います。
このように様々な国から多くの学生が韓国語研修を受けているわけですが、外国人学生の大半は大邱大学校の学部や大学院へ入学することが目的だそうです。私のように一定期間韓国語を学んで母国へ帰る学生の方は少数派だと感じました。ただ、日本人学生で韓国へ進学する人はそこまで多くない印象です。

中間試験

4月8日に初めての中間試験がありました。大邱大学校語学堂の成績評価基準は「中間試験30点,期末試験50点,出席・授業態度20点」となっていて、そのうち70点以上で次のレベルへ進級できる仕組みとなっています。今回受けた中間試験は、まずペーパーテストで語彙(単語)問題が10点分、文法問題(指定された条件で短文を書く)が10点分あります。それが終わると学生1人ずつ先生でスピーキングのテストが10点分あります。
スピーキングのテストは少し面白くて、試験日1週間前くらいにお題が書かれたプリントと原稿用紙を受け取ります。お題に沿って指定文字数以上(今回は300字)で長文を書きます。その原稿用紙を試験当日に先生に渡して書いた内容を話します。文法や発音が主な評価基準だと思われ、原稿用紙の内容と完全に同じ言葉で話す必要は無いと先生から言われました(あまりにも話が逸れたら減点だそうです。)事前に書く原稿について、先生は一切添削してくれません。自分だけでチェックするのが心配な人は一緒に確認できるクラスメイトや日本人の友達がいた方が安心かもしれません(私は韓国人の友達にチェックしてもらいました。)スピーキングテストの後は、次はカードを引いてそこに書いてある文法を使って話すテストがあります。大体10枚くらいのカードが机に並んでいて、引いた文法に対応した質問が聞かれます。答えたら次のカードというように、合計3枚引きます。すべてのテストが終わると次の週に結果が分かります。私は27.6点でした。30点中25点あれば十分に進級できると言われました。

韓国人学生との交流

大邱大学校では毎週木曜日に日韓学生の交流会があります。これは韓国語を学ぶ日本人留学生と日本語学科の韓国人学生が交流して仲良くなることはもちろん、語学を補い合うことも期待される取り組みです。写真はトッポッキ作りをした時のものです。初めてお会いした韓国人学生の方々もみんな優しく日本語が上手で楽しかったです。
普段は写真のように広いラウンジでゲームをしたりお菓子を食べたりして楽しく過ごしています。日本語を学んでいる学生達ですから、当然日本への留学に興味がある学生も多いです。私が大邱大学校の姉妹校である広島経済大学の学生ということを伝えたら、質問をしてくれる学生も数人いました。

おいしく食べました!
トッポッキ作り
大邱大学校の交流ラウンジ

平日授業後の生活

大邱大学校はキャンパスが非常に広いです。写真のようなキックボードがキャンパス内にも大学周辺にも設置されています。アプリをインストールしてクレジットカードや交通カードで決済すれば、1分100ウォンで乗ることができるようです。ただ、これには韓国で有効な運転免許証が必要なので、私を含めて日本人学生はほとんど乗っていません。乗っている韓国人学生を見て羨ましくなる時があります。
普段は授業が終わったら留学生寮近くにある食堂に行くことが多いです。キムチと沢庵が取り放題だから、やっぱり韓国に来たのだなと感じます。先日、寮とは離れた場所にあり利用者はほぼ韓国人の食堂に行ってみました。メニューを見てみると洋食コーナーに「トンカツ&オムライスセット」があったので、久しぶりに韓国っぽくないご飯を食べようと注文しました。
料理が出てきて、トンカツとオムライスを食べられるから嬉しいなと思っていました。トンカツは日本と変わりなくソースも美味しかったです。ただ、オムライスを食べた時にビックリすることがありました。外見は普通のオムライスのように見えたので大きく一口食べてみたら、チキンライスではなくキムチご飯でした。何かの間違いかと思いもう一度食べてもキムチの味がします。しかも具としてキムチの白菜も入っていますから食感もしっかりキムチです。この時はさすがに衝撃を受けました。おかずの漬物としてキムチがあるのにオムライスの中身もキムチなのかと驚きを隠せませんでした。これを洋食というのかはよく分かりませんが、しっかり美味しかったです。
キャンパス内には食堂の他にカフェが数件、一般の方からも人気のレストラン、生活用品や文房具を取り扱う売店、メガネ屋さん、コンビニと人気ファストフード店もいくつかあります。キャンパス内だけでも十分に暮らせるくらいお店が充実しています。私自身もまだ訪れたことが無いお店がいくつかあるので、機会があれば行ってみたいです。
大学の前は学生街になっていて、飲食店はもちろん、カラオケやPCバン(日本で言うネットカフェ。韓国ではここで友達とPCゲームをする。)などたくさんの遊び場があります。クラスメイトと訪れた中国料理マーラータンのお店です。安くてボリュームのある料理が食べられるので楽しいです。

キムチご飯のオムライス
中華料理 マーラータン
広大なキャンパス内移動に欠かせないキックボード
大邱大学校内のミニマートなど

2022年5月

期末試験について

5月12日に期末試験がありました。中間試験が「語彙,文法,スピーキング」であったのに対して、期末試験は「語彙,文法,書き取り,リスニング」でした。語彙と文法は中間試験同様、マークシート方式で、書き取りは、文章の穴埋めをする問題でした。マークシートとは違い、単語が分かっていても綴りが思い出せなければ不正解なので、試験前は重要単語をひたすら書いて練習しました。リスニングの方は正直簡単でした。非常にゆっくりと話していたので、単語と文法さえ分かっていればスラスラと解けました。テスト前日に先生が言われたように、リスニングの練習をするよりも「単語を覚えることが一番」だと感じました。中間試験,期末試験,平常点の100点満点で、私は91.9点を取ることができました。70点で進級できるので、ホッとしました。3級クラスでも引き続き頑張ります。

修了式

前列左から、アリゴ(モンゴル),マユリ(インド),タオ(ベトナム),ンオク(ベトナム),後列左から、エンフジェン(モンゴル),ジャヤ(モンゴル),ミシャ(カザフスタン),江口(日本),シュィトン(中国),ボヤ(中国),トゥオン(ベトナム),そして真ん中がドンホ(동호)先生です。

テストの翌日に修了式がありました。最初に1時間だけこれまでの復習をしました。その後に留学生向けの生活安全に関するビデオを視聴して、修了式という流れでした。修了式では、欠席の無かった学生に皆勤賞が送られ、私も受賞できました。景品としてハンドクリームを頂けたので、次のクラスでも頑張ろうという気持ちになりました。最後は教室でK-POPの音楽を流しながらクラスメイトに手紙を書いたり、韓国の伝統的な遊びの「ユンノリ(윷놀이)」をしたりと、楽しい時間を過ごしました。ちなみに集合写真の真ん中にいる人は、水木金担当のドンホ先生です。学生と年齢も近くて楽しく授業をしてくださいました。せっかくなのでクラスメイトの紹介をします。本当に仲の良い楽しいクラスです。

打ち上げ

修了式の後は先生も一緒にクラスのみんなでサムギョプサルを食べに行きました。韓国はコロナの規制が大幅に撤廃されて、大人数で食事ができたので楽しかったです。マスクを外してみんなの顔を見るのは不思議な感覚でした。ご飯を食べた後はカラオケに行きました。韓国人の間では日本でお馴染みの歌が人気らしく、先生が「さくらんぼ」を歌っていました。日本の歌がたくさんあってしっかり楽しめました。楽しい時間はあっという間で、これからみんなとは離ればなれになると考えたら寂しくなりました。

休暇期間

修了式翌日から10日間ほど休暇があり、韓国語で「バンハク(방학)」と呼ばれています。私はバンハク初日からルームメイトと一緒に2泊3日でソウルに行ってきました。コロナ前の2019年に行って以来、3年ぶりのソウルだったのでワクワクしていました。大邱からソウルへ行くには東大邱駅(トンテグ駅)から高速列車に乗るのが定番です。往路はスピードが一番速い韓国版新幹線”KTX”に乗りました。2時間弱でソウル駅に到着して、料金は片道45,000ウォン程でした。日本人観光客が訪れる定番スポットの明洞(ミョンドン)にあるホテルに宿泊しました。ソウルでは、大人気グループBTSの所属事務所であるHYBEを訪れてアーティストの着用衣装やアートを見学したり、日本でも話題となった韓国ドラマ「梨泰院クラス」の撮影地を巡ったりしました。どちらもコロナ禍になってから話題になったスポットでずっと行きたかったので嬉しかったです。

私はK-POPの大ファンなので、ソウル各地にあるオフィシャルグッズショップを周りました。先ほどのHYBE地下にあるHYBE INSIGHTはもちろん、他のアイドル事務所が運営しているショップやK-POPキャラクターのショップもたくさん周りました。
日本では取り扱っていないレアなグッズをたくさんゲットすることができて嬉しかったです。事前に入手しようと考えていたものは大体買うことができました。
今回のソウル旅行、すごく楽しかったのはもちろんですが、コロナによるダメージも目の当たりにしました。特にホテルを取った明洞は外国人観光客が多く訪れるエリアで、人気コスメはもちろん、アイドルグッズや韓国雑貨など、お土産をたくさん見て回れるスポットです。しかし今回訪れた際は閉店や休業をしているお店がたくさんありました。以前に買い物をしたことがあるコスメショップもチキン屋さんも閉店していました。前回訪れた時とは風景がまるで違いショックを隠せませんでした。韓国はコロナの規制がほぼ撤廃されているので、コロナ以前とは逆に、たくさんの韓国の人々が明洞でショッピングしたりご飯を食べたりしていました。それでも以前と比べると活気は無かったです。韓国好きの私としては早くコロナ禍が終息して、以前のような活気のある明洞に復活してほしいと感じました。

遂に来た!HYBE!
閉店している店舗
以前の活気は感じられない

2022年6月

夏学期スタート

春学期の休暇が終わり、5月23日から夏学期がスタートしました。学期スタート前日にクラスの割り当てがメッセージアプリにて送られてきました。私のクラスは12人で、日本人は私を含めて3人、外国人学生は春学期クラスで一緒だったメンバーが数人いました。担当の先生は違う方になって、月火金,水,木という変則的な割り当てで3名の先生に教わっています。一人の先生に教わる方が良いという学生もいれば、先生ごとに違う説明方法があって面白いという学生もいて、好みは人それぞれだなと感じました。私個人的には複数の先生に教わるのが面白くて好きです。
勉強する内容についてですが、3級クラスに上がりグッと難しくなったのかなと感じました。2級までの通常会話とは違い、「人から聞いた話を別の人へ話す“間接話法”」の内容に入るのが理由です。3級クラスで合格できなくなる学生がグッと増えると聞いていましたが、納得できました。レベルが上がる中で面白いと感じることが一つありました。それは、クラスのレベルが上がっていくごとに単語も難しくなってくるのですが、出てくる単語が漢字由来のものが多いことです。欧米圏を筆頭に漢字に触れたことがない学生達は苦労している様子でした。例えば、「買う=購入する」「本を読む=読書する」「会社へ通う=通勤する」のような言葉です。これらのように意味はほとんど同じでも、「訓読みの表現」と「漢字が合わさった熟語の表現」を場面ごとに使い分けることは日本語にたくさんあると思いますが、韓国語も同じです。もともと韓国でも数十年前までは漢字とハングルを使い日本語と同じように文字を書いていたので、漢字が理解できる日本や中華圏の学生達は理解が早いです。(訓読みと音読みが分かっている日本人は特に)

韓国のキャッシュ事情

韓国がキャッシュレス大国であると聞いたことがあるでしょうか。私はその話を知ってはいたものの、実際に現地に来てみてあまりのキャッシュレスに驚きました。韓国の人々は現金をほとんど持ち歩きません。バスや地下鉄のような交通機関はもちろん、生活用品の買い物、自動販売機までどんなところでもほとんどカード決済です。
縦長の大きいスマホような物は、寮の近くにある学生食堂にあります。3台の券売機がありますが現金決済できるのは1台のみです。その1台でさえも現金で支払っている人はほとんど見たことがありません。

学生食堂券売機
夜間は無人のコンビニになる。支払いは、セルフペイ。

右側の写真は大学内にある24時間営業のコンビニです。詳しい時間は忘れましたが、夜のある時間を過ぎると従業員がいなくなり完全セルフの店に変身します。お店へ入る時は韓国で作ったクレジットまたはデビットカードを挿入するか、コンビニのアプリで会員登録して認証しなければならないようです。誰が入ったか確認する防犯のためのシステムです。会計時はタッチパネルがお客さん側に向いているセルフレジのみ使用可能です。実際に一度利用しましたが、誰もいなくて変な感じでした。ちなみに韓国では会計時に現金を使うことが少ないため、現金受け渡しのトレーがレジに置いてありません。
あと、韓国人とご飯や飲み会へ行き割り勘をする時は、現金手渡しではなくスマホで送金するのが一般的でした。現金を渡されても使うことが無いから困るそうです。

韓国の交通事情

韓国でバスや電車に乗る時はもちろん交通カードを使うキャッシュレスなのですが、とにかく交通費が安いです。バスから電車に乗り換える時は無料で乗れます。大邱市を例に挙げると、私が住んでいる大学寮から地下鉄駅までバスで行き、地下鉄に乗り換えて街に出る時の交通費は1,250ウォンです。たったの125円程で移動できます。まず、違う乗り物へ乗り換えることが無料であることに驚きですし、大邱市内であればどこまで行っても一律料金というのも驚きでした。交通費が高い日本の感覚からすると本当に便利です。
ただ、韓国のバスを利用する際には気を付けなければならないことがあります。韓国は日本と比べると交通マナーが非常に悪く、スピード違反や信号無視はもちろん、ヘルメット無しのバイク二人乗りや、歩道をバイクが走っていることなど、日本の感覚からしたらヒヤリとすることが多いです。客を乗せて走るバスの運転の荒さも例外ではありません。まずバス停で乗りたいバスが来たときは、立ち上がったり手を挙げたりして乗る意思を見せないと、さっさと行ってしまいます。韓国のバスは運転席側のドアから乗ってカードをタッチしますが、席に着く前に急発進するので危ないです。ドアがまだ開いているのに走り出すことも多いです。走行中はスピードを出して車間距離を詰めて走るのでヒヤヒヤします。あと、韓国のバスは時刻表が無いことにも驚きました。バスは路線を何回も周回するらしく、バス停の電光掲示板かスマホアプリでバスのおおよその到着時間を確認します。(大邱市以外は違うかもしれませんが)

韓国人の政治参加意識

私が留学に来てから大きな選挙が2回ありました。3月に行われた大統領選挙と、6月に行われた全国地方選挙です。日本では選挙の投票率が低く、若者は(学生は特に)投票に行かないとよく耳にしますが、韓国は全然違います。大人はもちろん若者も政治に関心が高く、ほとんどの人が投票へ行きます。投票所へ行くと選挙に参加した印として、手にスタンプを押してもらえるようです。そのスタンプを押された手をSNSにアップしている人が多くいて、若者らしいなと感じました。中にはカップルで投票に行ってお揃いのスタンプで写真をアップしている人もいました。私は韓国で多くの知り合いができましたが、たまに政治についての話を振られることがあります。日本ではそんな話を同年代の友人とすることなんてまず無かったから、この意識の違いも興味深いなと感じました。

2022年7月

夏学期が終了

クラス3のクラスメイトと修了式で記念撮影

5月23日から始まった夏学期は、6月24日に中間試験と7月28日に期末試験があり、10週間の日程を終えました。
試験の形式は春学期と同様で中間試験では、お題に沿ってスピーチ(말하기:マラギ)の原稿を書き、その内容に沿って話しますが、上のクラスに行くほど文字数が増えていきます(今回は400~500字程度)。期末試験ではスピーキングの代わりにリスニング(듣기:ドゥッキ)問題があります。3級に上がってからは音声のスピードがかなり速くなってついていけるのか焦りましたが、時間が経つにつれて段々と聞き取れるようになり、「慣れるってすごいな。」と思いました。

春学期の時にも感じたことですが、今学期も本当にあっという間でした。10週間という数字を見ればそれなりの長さがある感じがしますが、毎日勉強をこなしていると気がつけば5週目で中間試験、10週目で期末試験がやってきます。担当の先生は3人で曜日で交代しながら授業が進んでいくため、あまり飽きが来なくて時間が早く感じるのかもしれません。

期末試験翌日には授業兼修了式がありました。授業と言っても正確には韓国語能力試験(TOPIK)の過去問を解きながら解説を聞く、”TOPIK”対策でした。TOPIKは1級から始まり最上級は6級となっていて、1・2級はTOPIKⅠの試験で、3~6級はTOPIKⅡの試験に分かれており、獲得点数に応じて合格級が決まり
ます。つまり、TOPIKⅡを受ける韓国語中級者は試験の時に上級レベルの問題にも触れることになります。TOPIKⅡで特に難しいと言われるのはライティング(쓰기:スギ)問題です。文章の中で空欄になっている部分を自分の言葉で埋める問題が少しあって、表やグラフを読み取って文章を書く問題や、お題に対して指定文字数で自分の考えを書く問題が続きます。いかに部分点を稼げるかが勝負となります。韓国語での文章の組み立て方を解説してもらったので、10月のTOPIKⅡ試験に向けて夏休み中に練習しようと思います。

大邱で有名なチメク・フェスティバル(치맥 페스티벌)

チメク祭@大邱市

7月上旬に、大邱で有名なイベントへ行ってきました。イベント名は「チメク・フェスティバル(치맥 페스티벌)」と言います。“チメク”とは、「チキン(치킨)」と韓国語でビールという意味の「メクチュ(맥주)」を合わせた略語です。つまり“チキンビール祭”ということですね。大邱では毎年夏に数日間開催される大型イベントとして有名のですが、ここ数年はコロナ禍ということで久しぶりの開催だったようです。

とある黒ビール・・
プールバー⁉
移動式ATM

私は同じ大邱大学校に留学している日本人の友だちと行ってみました。たくさんの露店が出ていて、チキンもメクチュも種類が豊富で楽しかったです。私は大邱で有名と聞いた、とある黒ビールを飲んでみました。チキンもボウル大盛りのものを買って美味しく食べました。ステージには歌手やパフォーマンスをする方が出演されていて盛り上がっていました(日本人の私は知らない人達でした)。
プールに浅く水を張って足を冷やしながら食事を楽しんでいる風景や、普段現金を持ち歩かない韓国の人々が露店で現金を使えるように移動式のATMが用意されているのを見て、チキンとビール以外にも興味深く面白い部分があったから行ってみて良かったなと思いました。

「チキンのソースが手についたときは?」 「指を舐めれば無くなるよ」
大盛の唐揚げボウル

達城公園と動物園

別の休日には大邱で有名な達城公園(タルソン公園)にも行ってみました。この公園でもなかなか面白いことがありました。公園内に無料で入ることができて、それなりに大きな公園で緑が多いから散歩したりベンチでゆっくりしたりできる良い公園だなとは思っていました。実はこの公園、動物園があります。公園内の端の部分が一周丸々動物園になっていて、公園兼動物園でした。しかも公園と動物園の境目には何も無くて、無料で入ることができます。以前の記事で紹介したように大邱電車バスなど1,250ウォンでどこまでも移動できるから、寮を出発して動物園を楽しむまでにかかったお金は125円程です。日本の感覚だったら信じられない金額ですが本当にこれしかかかりませんでした。それと、達城公園周辺の歴史資料が展示してある「大邱郷土歴史館」という施設も公園内にあり、全て無料で見学できました。韓国語中級になると説明書きも少しずつ読めてくるから面白かったです。

アジアゾウ。ハングル読めるようになってるぞう~!!
BTSのVさんが写真を撮っていたのと同じ場所。熊をバックに記念写真!K-POPファンの聖地です。

日韓の飲食店の違い

無料の小皿!たまに、ジュースももらえます。

韓国で生活してたくさんの飲食店に行きましたが、日本と違うなと感じたことがいくつかあります。まず、個人で経営しているお店が非常に多いです。
日本は有名なチェーン店がどこにでもたくさんありますが、韓国はファストフード店を除くと、チェーン店を見かけることがありません。
韓国の飲食店は個人でそれぞれお店の色を出していて、見ているだけでも楽しいです。次に、韓国の飲食店の店員さんは、お客さんの席に座って普通にご飯を食べます。客なのか店員なのか分からない時が結構あります。注文しようと声を出すと、ご飯を食べながらスマホを見ていた人が近づいてきて注文を聞いてくるなんてことは何度もありました。日本でこんな感じの店員さんがいたら“テキトーだ”と思われ、あまり良くない印象を持たれるかもしれませんが、韓国ではこれが普通にあります。そして、韓国の飲食店はサービスのおかずが多くて、たまにジュースをくれることがあります。

サムギョプサル屋さんなどのレストランで、小皿のおかずがいくつも無料で出てきます。どんな飲食店へ行ってもこのように小皿でいくつか出てくる場合が多いです。右の写真は大邱大学校の近くにある食堂へ行った時の写真で、注文する前にコーラをくれました。こういったサービス精神旺盛なところは大好きです。あと余談ですが、韓国の飲食店でジュースや酒を注文すると、パッケージがついたボトルのままで出てきます。日本ではコップに入れて提供される場合が多いと思うのですが、韓国ではボトルのまま出されて、自分で紙コップに注いで飲むことが多いです。ジュースを注文してペットボトルで出てきたら「韓国の食堂に来たな」という感じがして、個人的には結構好きなスタイルです。

ポックンパプ
ペットボトルから、直接紙コップに。

2022年8月

韓国の友達と遊びに行きました

前回の韓国語クラスの夏学期が終了したと書きましたが、その後バンハク(방학:長期休暇の意味)で1ヶ月程度授業が無いので、友達と出かける機会が多くなりました。日本語学科の韓国学生2人と日本人留学生2人で大邱の街へ遊びに行きました。
日韓の友達で遊ぶということで、お昼は日本料理屋さんへ行き、私はトンカツにうどん、そしてサーモンの寿司が付いているセットを注文しました。想像以上に豪華で美味しく食べたのですが、写真を見て分かるように、日本で食べるものと見た目が少し違う気がしました。まずキムチがあります。韓国ではどこへ行っても本当にキムチが出てくるから少し予想はしていましたが、やっぱり付いてきました。うどんも日本とは見た目が少し違って、韓国っぽいピリ辛な見た目でしたが、食べてみると全然辛くなくて美味しかったです。メインのトンカツですが、ソースの味が日本と大きく違ったことに驚きました。文章では表現できませんが、日本で食べたことない面白い味でした。韓国を訪れた際は、あえて日本食を食べるのも面白いかもしれません。

ランチの後には、大邱市で有名なアミューズメント施設に行きました。体を動かすアトラクションやVR体験など楽しそうなものがたくさんあり、ビルの屋上には小さな遊園地まであります。バンハク中ということもあって家族連れが多く混雑していましたが、VR体験の待ち時間には韓国語で雑談をして、会話の良い練習になりました。

大邱大学校の友達と。女の子は、日本語学科の韓国人学生

遊んだ後には夕食を食べに行きました。お昼は日本食だったから夜は韓国料理を食べようということになり、韓国人の友達おススメの美味しいお店へ連れて行ってもらいました。写真はイチゴマッコリ(딸기 막걸리)とポッサム(보쌈)です。このイチゴが入った飲み物はジュースではなくて“お酒”で、韓国で有名なマッコリというお酒にイチゴが入っており、美味しくて写真映えするということで人気だそうです。初めて飲んでみましたが、お酒という感じはしなくて、甘くて飲みやすいものでした。料理の方はポッサムという蒸した豚肉です。唐辛子ベースのタレにつけて食べるのですが、とても美味しかったです。あっという間に完食しました。一緒に食べた日本人学生と「これは美味い!」と話して感動しました。日本食も韓国料理も本当に美味しくて楽しい日でした。
やはり韓国の方と出かけると、今まで知らなかったものを食べられたり、新しい体験ができたりで楽しかったです。この日は会話の9割以上を韓国語で話したので、それも自信になりました。

トンカツ定食 @韓国
スパークランド
ポッサム(蒸した豚肉)
イチゴマッコリ!

K-popのコンサート

私はK-POPが大好きだから、いつか韓国でコンサートに行ってみたいと思っていました。ITZYという人気ガールズグループのコンサートがあり、K-POPの本場でコンサートを見れるので、ずっとワクワクして会場へ行きました。写真にある建物はハンドボール競技場と書かれていて、スポーツ施設を会場として使っているようでした。すぐ隣にはドームも建っていて、別のアーティストの公演があるということで、ものすごい人でした。公演中はメンバーがMCで話していることが大体聞き取れて嬉しかったです。今回一人で参加したのですが、席が近い方とお話したりグッズを購入したりして、とても良い思い出になりました。

コンサートとは直接関係ないですが、公演前に会場近くのレストランで昼
食をとっていたら、配膳ロボットが食器を運んでいたので、思わず写真を撮りました。コンサート会場に入る時はプラスチック製カードをタッチして入場でしたし、以前の記事で書いたキャッシュレス社会であることを思い返しても、やはり韓国はデジタル先進国なのかなと感じました。

ITZYコンサート
ITZYに染まるMIDZYの夏、、とのこと。

韓国プロ野球(KBO)の試合を観戦

大邱広域市には三星ライオンズ(삼성 라이온즈)というプロ野球チームがあり(三星はサムソンと読みます)、バンハク中に現地で観戦しました。韓国のプロ野球チームには、日本のプロ野球でプレーしたことのある選手が何人か所属していて、三星ライオンズにも元広島カープのピレラ選手や元阪神タイガースの呉昇桓(오승환:オ・スンファン)投手などが在籍しているので、生で見られたらいいなと思って球場へ向かいました。ピレラ選手はスタメン出場で3安打の活躍、9回には守護神の呉昇桓投手が登場して試合を締めくくり、見事勝利しました。出場選手の中には昨年の東京オリンピックのメンバーだった選手もいて、貴重な機会だったなと思いました。
韓国のプロ野球での応援方法は日本とは違っていて、BGMに合わせて踊っているチアリーダーと一緒に応援します。日本のトランペットと太鼓による応援とは雰囲気が違って面白かったです。また、フライドチキンを食べながら観戦しているファンの方が多くいて、韓国らしいなと感じました。
チケット販売も面白くて、ネットで事前決済してから会場のタッチパネルで予約番号を入力するとチケットが発券されます。

グッズショップにも立ち寄ってみたのですが、応援グッズの定番であるユニフォームの販売も日本とは大きく異なり面白かったです。選手別のユニフォームは販売していなくて、まず共通のユニフォームを買った後に、背番号と選手名のキットを買って、ショップ外のブースで貼り付けるというものでした。このようなシステムは経験したことがなかったので驚きました(他のチームはどうか分かりません)。私はよく広島で野球観戦をしますが、こんなにも違いがあるのかと興味深かったです。

三星ライオンズ
チケット売り場
元広島東洋カープのピレラ選手
ブルーライオン(Leo)で、ブレオくん
夜のスタジアム

韓国と北朝鮮の国境へ

夏休み終盤に韓国北部へ出掛けて、韓国と北朝鮮の国境付近を周るツアーに参加してきました。実は留学前から気になっていたツアーだったのですが、新型コロナウイルスの影響でしばらく中断されていたようで、参加できて良かったです。今回参加したツアーは、首都ソウルの北にある坡州市(パジュ市)へ行き見学をするというものでした。(大型バスに日本人見学者5名と欧米圏からの見学者の方が20名程度いらっしゃいました。)
韓国と北朝鮮の国境について、お互い2kmまでは非武装地帯(DMZ)として管理していて、軍事衝突を避けるようになっています。ツアーの最初は韓国軍管理地域の手前にある臨津閣(イムジンガク)という場所へ行き、南北関係の話を聞きました。その後は資料館や記念碑を見学しました。写真にある看板には韓国の首都ソウルと、北朝鮮の都市である開城(ケソン)と書かれていて、本当にすぐ近くなのだなと感じました。
臨津閣の案内が終わるともう一度バスに乗り込み、韓国軍管理エリアへ向かいます。統一大橋というところに検問所があって、パスポートの確認を受けて許可を頂いた後にエリア内へ入っていきます。見晴らしの良い展望台へ行き、実際に北朝鮮の街を見ました。写真撮影できる場所が厳しく制限されていたのでこの記事に載せることはできませんが、畑や住居はもちろん、両国の国旗や国境などたくさんのものが見えました。日本語が上手なガイドさんが分かりやすく説明してくださって、私の質問にもたくさん答えてくださったので、理解を深めることができて良い経験になりました。

開城(ケソン)工業団地とソウル。ケソンまでたった22㎞
奥が北朝鮮。山すそに広がる町が、開城工業団地

2022年9月

秋学期スタート

長期休暇が終わり、9月5日に秋学期がスタートしました。私にとっては最後の学期です。韓国語学習段階も半分を超えて終盤へと向かってきています。
今回のクラスは15人のメンバーで国籍は、ベトナム5人,モンゴル3人,カザフスタン1人,日本人6人です。今回は日本人学生がかなり多いクラスとなりました。他国の学生も国籍が偏っている印象で、個人的には少し寂しかったです。そして、中国の学生が1人もいないのは驚きました。
授業についてですが、「これは~なだけではなく更に○○です」「~に対してこちらは○○です」というような、相手に物事を伝えて納得してもらうためのような文法が登場してきます。これまで習ってきた日常会話から一歩ステップアップした印象です。単語についても、仕事で使うような少しかしこまった言葉が多い気がします。
今学期を良い成績で終えることができたら、将来活躍の幅を広げられそうだなと考えています。10月中旬には韓国語能力試験(TOPIK)を受験するので、授業で身に付けた韓国語力を発揮出来たらいいなと思っています。

韓国のせっかち文化(パリパリ文化)

重なりすぎているトレイ @学生食堂

韓国の人々は何をするにも速いと聞いたことはあるでしょうか。私は韓国生活を送る中で何度も感じました。写真に写っているのは学生食堂で注文した料理を待っている時の様子です。注文票を見て次から次へと捌いていくために、おぼんを奥へ詰めるよう指示されます。「ここまで詰めるの?」と最初は驚きました。でもこれが当たり前です。このように、韓国では“速く早く”=빨리(パlリ『lの子音が入る発音』:速く)という言葉の通り何でもスピード重視な印象です。“빨리빨리”と続けて発音すると“パリパリ”と聞こえるのですが、韓国の人々はしょっちゅう言っている気がします。バスに乗る時も速くて雑な運転の時が多いし、マート(韓国におけるスーパーの意味)でも素早くレジ打ちされてカードを出して決済出来たら次のお客さんの商品を打ち始めるから、急いで袋詰めしなければなりません(韓国では袋詰めの台を見かけません)。韓国語の授業で小テストをする際に、先生が回収したら10分休憩の間に採点されて次の時間に返ってきます。本当に何をするにも速いです。こんなに何を急いでいるのか謎だなと思ったりもしますし、スピード重視のためか仕事や作業が少し雑だなと感じることも正直ありますが、これが当たり前なのだなと理解して、もう慣れました。こういった些細な日韓の違いも、長く韓国に滞在しているから見えてくるのだなと嬉しく思ったりもします。

帰国を意識するようになりました。

留学生活が終盤に差し掛かり、最近は帰国について考えることが多くなりました。語学授業の10週間は本当にあっという間だし、1ヶ月のバンハクなんて終わってみれば一瞬に感じられました。この記事を書いている時は帰国まで60日程残っている状態です。あと2ヶ月と考えると本当に時間が無いなと感じます。行きたいところもやりたいこともまだたくさんありますが、日々の授業とTOPIKの準備、そして私は4年生のため卒業論文も書き進めなければなりません。恐らくこの2ヶ月は一瞬で終わるだろうと思っています。最後の学期が始まってからは、一日一日を今まで以上に有意義なものにしようと、精力的に活動しています。
写真にある食べ物は、現地で出会った韓国の友達や、語学クラスで一緒に勉強した他国の留学生と食事した時のものです。留学生活の残りは少ないですが、始まってからは200日以上経過していて、格段に韓国語力が伸びているので会話に困らないし、日本人1人で外国の友達の輪に入るのは平気になったから、積極的に遊ぶようにしています。正直なところお金の面が心配になることはありますが、これまでの留学生活はかなり節約してきたから、終盤戦はしっかり楽しんでいこうと考えています。
帰国について意識するようになったのはなぜなのか自分なりに考えてみました。約半年間共に過ごしたルームメイトの帰国、共に語学を学んだ外国人学生の進学が大きな理由だと思います。ルームメイトが帰国したことにより、何か一つ区切りが付いて終わってしまった感じがありました。帰国する流れを目の前で見たことにより、まだ先のことだと思っていた帰国に現実味が帯びてきたのかなと感じました。また、共に勉強した留学生の友達が夏学期で韓国語授業を修了し、学部や大学院に進学していったことで、これもまた一つ区切りが付いたように感じたのかもしれません。
このように、残り少ない留学生活の一日一日が貴重なものだから、今までの出会いを大切に、思い出を作りたいと強く感じています。現時点でこのような気持ちなのに、留学が終わる時はどんな気持ちになるのか、全く想像がつきません。

火鍋 @中華料理店
チーズたっぷりチーズダッカルビ

大邱で有名なアプ山展望台

週末に韓国の友達と会って、大邱市で有名なアプ山(アプサン)にある展望台から景色を眺めました。大邱市内ではありますが、大邱大学校からはだいぶ離れていて、交通機関の乗り継ぎもやや複雑だったので、せっかくの機会ということで韓国の友達を誘って行ってみました。
この展望台は景色が綺麗なことはもちろんですが、数年前に放送された人気ドラマの撮影地としても有名で、多くの人々が訪れるスポットです。ケーブルカー乗り場にもそのドラマが撮影されたと紹介するパネルが置いてありました。
写真の場所は屋上が展望台になっていて、屋内は칼국수(カルグクス:暖かいそうめんのような麵料理)を食べられる食堂になっていました。ご飯を食べてからもう一度展望台に行くと日が落ちていて綺麗な夜景を見ることができました。
大邱市の南にあるこの展望台から大邱の街が一望できるから、今まで訪れたことのあるエリアを探してみました。チメクフェスティバルの会場や、東城路(トンソンロ)というメインストリートなどはハッキリ見えたし、大体あの辺に市場や駅があるなと分かったので面白かったです。それと同時に、「この7ヶ月間、いろんな場所に行ったんだな。」と今までの記憶が蘇ってきました。留学生活が終わると、この大邱の光景が当たり前ではなくなるのかとふと考えて寂しくなったりもしました。大邱での生活をしっかりと心に刻まないといけません。

アプ山展望台からの大邱市内

2022年10月

浦項市で観光

10月のとある週末に、浦項市(ポハン市)という街へ観光に行きました。浦項市は、僕が生活している慶山市(ギョンサン市)と同じく慶尚北道(ギョンサンプクド)に所属している市です(韓国における“道”は日本の都道府県と同様)。
今回は、私が1年生の時(2019年)の興動館の交流会で知り合った嶺南大学校(ヨンナム大学校)の友達と一緒に浦項を回りました。
浦項市で一番と言っていい有名なスポットは호미곶(ホミゴッ)という岬です。漢字で書くと「虎尾串」という表記になります。由来は、よく韓国内で虎の形に例えられる朝鮮半島において浦項市が尻尾の部分に位置することから虎の尾となっているそうです(実際に浦項市は少し出っ張っていて尻尾に例えられるというのが分かります。)
虎尾串には写真にあるように象徴的な手のモニュメントが設置してあります。韓国の東側にあるため韓国内で早く日の出を見られることに加えて、太陽と手のモニュメントが重なる瞬間を見られるということで、旧正月をピークに多くの観光客が訪れるそうです。私が行った普通の週末でもたくさんの人が来ていました。

写真の場所は九龍浦(クリョンポ)という場所で、人気ドラマの撮影地として有名です。現在は「日本人家屋通り」という名前で観光客が訪れるスポットとなっています。ドラマに登場する階段で写真を撮りました。私の後ろにも人が並んでいて人気の場所なのだと感じました。

手のモニュメント
階段にて

浦項市は海産物が有名で、과메기(クァメギ:主に秋刀魚を使った浦項を代表する干物)やカニ料理を販売するお店がたくさん並んでいました。ハングルがびっしりと書かれている看板を眺めていると「韓国らしい風景だなぁ」と感じ、もう少しでこのハングルだらけの世界から離れると思うと少し寂しくもなりました。

海産物店
ハングルだらけ

韓国の学園祭

10月は大邱大学校で学園祭がありました。5月の学園祭は中止になりましたが、10月は開催されて良かったです。韓国の学園祭は日本と大きく異なります。まず、基本的に平日に開催されます。大邱大学校は平日3日間でした。写真を見て分かるように夕方に始まり、日付を超えても続いていました。平日ですからお昼は普通に授業があって、夜は学園祭に参加するというハードスケジュールですが、私を含めてみんな楽しんでいました。
そして、学生が出店する模擬店はもちろん、留学生が国ごとにブースを出していたり、一般のキッチンカーが出店していたりと、お店の数や来場者の規模がかなり大きいなと感じました。
18時頃から舞台で学生サークルが歌やダンスを披露して、21時頃になるとK-POPアイドルや韓国の人気歌手が登場して会場は大盛り上がりでした。私が好きなアイドルが登場していたのですが、早い時間から並んでいたおかげで、最前列で見ることができ最高の思い出になりました。
私が普段遊んでいる日本語学科の学生達も模擬店で長崎ちゃんぽんを売っていたので、食べに行ってみました。日本語が書いてあるエプロンを身に付けていて、しっかり日本の雰囲気が出ているなと思いました。
いざ、長崎ちゃんぽんを食べてみたのですが、予想通り辛かったです。「やっぱり韓国は何でも辛いな」と改めて感じたし、面白かったです。辛かったですが美味しく食べました。模擬店には日本語学科の先生方もいらっしゃって、ご飯を食べながら学生達と楽しんでいらっしゃいました。

学園祭に出店しているお店はもちろん現金で支払ってもいいのですが、スマホの銀行アプリで送金して支払う人もたくさんいました。(私も送金で支払いました。)お会計の台に口座番号と銀行名が書いてあって、そこに送金した画面を見せることで支払い完了です。正にキャッシュレス大国だなと感じました。(他行への送金でも手数料は掛かりません。手数料免除の回数には上限あり。)
馴染みのある日本の学園祭も楽しいですが、夜に開催される韓国の学園祭は雰囲気が違って、それぞれ違った魅力があるなと感じました。私はコロナの影響で広島経済大学の学園祭を楽しめなかったけれど、まさか留学先で楽しめるとは思いませんでした。

学園祭風景①
学園祭風景②
学園祭風景③
メニュー・・もちろんハングル。ちなみに一番上は、「長崎ちゃんぽん」とあります。
学園祭@大邱大学校

2022年11月(帰国編)

最後の学期が終了しました

11月10日に秋学期の期末試験が行われました。私にとっては最後の試験であること、その3日後に韓国語能力試験(TOPIK)が控えていることから、モチベーション高く試験準備をしました。もう語学研修は3学期目、韓国生活も9ヶ月になったので、単語を覚えるコツを掴んでスラスラとインプットできた感じがありました。やっぱり長く現地にいると、ふとした瞬間に「なんだか成長してるな」と思える事があって、嬉しくなります。試験内容はいつも通り、読解,聞き取り,書き取りの3種類でした。9割ほどの点数を取ることができて嬉しかったです。
期末試験翌日には修了式がありました。3限目までTOPIK対策の授業をしてから、4限目はクラスのみんなで写真を撮りました。今回の学期で語学研修が終了する学生が私を含め2人で、修了証を受け取り記念撮影をして頂きました。何人かの他国のクラスメイトがお菓子やK-POPグッズ、そして手紙をくれて、とても感動しました。ずっと大切にしようと思いました。あと、修了式当日は11月11日ということで、日本と同じく韓国でもお菓子にちなんだ日となっていて、先生もクラスのみんなにお菓子を配っていました。

修了式にて
クラスメイト @修了式 (前列右端が江口君)
語学コース終了しました!

いよいよ帰国

留学期間を延長して頂いて本当に長い間、韓国に滞在していましたが、ついに帰国となりました。韓国へ来て9ヶ月(約280日)ぶりの日本ということで、ワクワクするような、でも韓国を離れる寂しさもある不思議な気持ちでした。私の帰国予定は修了式から一週間後の11月18日となっていて、そこで帰国に関する手続きや引っ越し準備を済ませました。この一週間の間に先に帰国していく日本人仲間を見て急に寂しくなりました。帰国時に利用する空港が仁川国際空港なので、2日前にソウルへ向かい、前泊兼一人旅をしました。ソウルへ向かうKTXに乗る前、同じ時期に留学に来た友達や現在のルームメイトなど、何人かが見送りに来てくれました。同じタイミングで韓国に来た一番付き合いの長い友達と一緒にお昼ごはんを食べたのですが、2月に初めて会ってまだ慣れなかった韓国生活からあっという間に9ヶ月も経ってしまったという話で盛り上がりました。授業で“세월이 쏜살같다(歳月が矢のように早く過ぎる)”という言葉を習いましたが、まさにその通りでした。留学生活が終わってしまう寂しさがあると同時に、それだけ充実した楽しい日々を送れたのだと満足感もありました。
みんなに見送られKTXに乗り込んだのですが、隣に座った韓国の方が日本語で話しかけてくださいました。実はその方、以前日本に留学されていたそうで、私が帰国のためソウルへ向かっていることを伝えると興味を持ってくださり、たくさんお話してくださいました。同じくソウル駅で下車したのですが、荷物を持つのを手伝ってくださったり、私が乗るべき地下鉄の行き方を教えてくださったりしました。その方とは連絡先を交換して、私が次回韓国を訪れた際は日本のお土産を持っていくことを伝えました。帰国前に新しい出会いがあって驚いたし、嬉しくなりました。またその翌日、ソウル市内の郵便局に用事があったため荷物を持って信号待ちをしていると、見知らぬおばあちゃんが「ここに荷物を置いて信号待ちの間少し休みなさい」と荷物を置けるスペースを指さして話しかけてくれました。私が日本人留学生で、郵便局に向かっていることを伝えると、ちょうど行き先が同じだったこともあり親切に案内してくださいました。韓国の人々は日本の方よりも距離が近くてお世話好きなのだなという印象を最後に再認識しました。とても気持ちが良い体験だったなと思います。

約10か月間を過ごした大邱大学校の学生寮
地下鉄ホームにて

帰国当日は午前発の飛行機だったので、ソウル市内のホテルを朝早く出発して空港行き鉄道(A’REX)で仁川市(インチョン市)へ向かいました。空港に着くとすでにたくさんの人がいて驚きました。私は格安航空会社の福岡行きチケットを予約していて、該当するカウンターに行ってみると朝早いのに長蛇の列ができていました。並んでいるほとんどの人が韓国の方でした。11月時点で、日本へ入国する際の条件が緩和されていて観光目的で渡航する人が増えたのだなと実感しました。実際に私の韓国人友達も、日本旅行の計画があると言っている人は多かったです。外国の方の来日というと、東京や大阪のような大都市に行くイメージを持っていましたが、韓国の場合は九州地方と近く、国際空港のある福岡も魅力的ということでたくさんの観光客が訪れるようです。
大邱大学校の寮を出る前に予め荷物を国際郵便で送っていましたが、それでもまだスーツケースに多くの荷物が詰まっていて、預け荷物が重量オーバーしてしまいました。片付けが苦手な自分らしいなと思い、それはそれで思い出になりました。
カウンターでのチェックインを終えて、手荷物検査と出国手続きを済ませた頃には飛行機の出発時間が目前となっていました。出発の1時間半以上前に空港に来たけれど、それでも時間ギリギリになるくらい人が多かったです。
仁川国際空港はとても広いので、出国手続きが終わると地下の列車に乗って搭乗する建物まで移動しなければなりません。元々は売店に立ち寄って買い物をしようと思っていましたが、残念ながら実際はそんな余裕は無く急いで搭乗ゲートへ向かいました。列車から降りて搭乗棟の地上に上がったのですが、私が乗る飛行機の搭乗口は、よりによってその建物の一番奥になっていて、「やばいな」と焦りました。走るとマナー違反だと思って焦る気持ちを抑えながら早歩きで奥まで行き、さらにそこにあるエスカレーターで下に降りるとようやく到着でした。幸い人が多かったからなのか搭乗の列がまだあって、乗り遅れは回避しました。本当に安心しました。偶然、旅行で来ていたのであろう日本人の親子連れの方がいらっしゃって、私と同様に急いで何とか間に合った様子で息が上がっていました。何だか空港って緊張しますね。
仁川市から福岡市までは1時間半も掛からないくらいで到着しました。事前にインターネットで入国手続きを済ませていたのでスムーズに空港を出ることができました。新幹線に乗るため博多駅に移動しようと空港発のバスを待っていると列の前後から韓国語が聞こえてきました。周辺の看板やバスのアナウンスも韓国語がたくさんあって、帰国したのにまだ韓国に残っているような感覚になって面白かったです。

博多駅で、久しぶりの日本食!
さらに、おやつも!!

余裕をもって夕方の新幹線を予約していたので、博多駅周辺で昼食を取り、おやつにドーナツを食べました。商業施設を歩いてみると、見慣れている日本の風景のはずなのに懐かしい気持ちになりました。それと一番驚いたのは、「におい」です。説明が難しいのですが、ドラッグストアのにおいが何故だか「日本のにおいだ!」と懐かしく感じました。韓国に滞在していた時には無かった日本の当たり前のにおいがすると、急に記憶が蘇ってくるような不思議な体験でした。(においや風景に限らず、料理の味や聞こえてくる音など、人によって懐かしくなる感覚はそれぞれあるのかもしれません。)
夕方、新幹線に乗り込み無事に帰宅しました。朝早くホテルを出発してから移動の連続で家に着いたのは夜だったので、クタクタに疲れましたが無事に帰って来ることができて、長いようで本当にあっという間だった留学生活を終えることができました。

これからは、留学時代に得た語学力はもちろん、韓国社会に関する知識、現地で出会ったたくさんの人との繋がりを活かして楽しく過ごせていけたら良いなと思っています。そして、この留学体験記が、これから留学を考える誰かの助けになることができたら嬉しいです。

最後に、コロナ禍で先が読めない中、この長期語学留学の実現にあたってご協力くださった大学職員さんや先生方はもちろん、大邱大学校の方々にも本当に感謝しています。ありがとうございました。

 コロナ禍を乗り越え留学を実現し、三段飛ばしで語学力を向上させたことに
感動すら覚えました。

今後の活躍を祈念しつつ、
江口君の体験記に刺激されて留学に行きたいと思ったという学生に、
会えることを楽しみにしています。
そして、TOPIK6の結果も教えてくださいね。