平成24年度「大学間連携共同教育推進事業」採択

西日本から世界に翔たく異文化交流型リーダーシップ・プログラム

本学ほか8大学、1短期大学で連携して取り組む「西日本から世界に翔たく異文化交流型リーダーシップ・プログラム」が、文部科学省の「大学間連携事業共同教育推進事業」として採択されました。

基本情報

名称と種類 西日本から世界に翔たく異文化交流型リーダーシップ・プログラム
種   類 地域連携
連携校名 山口大学、香川大学、愛媛大学(代表校)、佐賀大学、京都外国語大学、京都文教大学、広島経済大学、松山大学、九州国際大学、京都外国語短期大学
取扱担当者 愛媛大学教育・学生支援機構 教育企画室 秦啓治教授
連携機関 松山市青年会議所、(財)えひめ女性財団、愛媛県企業経営者勉強会(理解ラボ)、アジア太平洋学生支援協会(APSSA)、大学教育学会
関係大学
コンソーシアム
四国地区大学教職員能力開発ネットワーク
UNGL西日本学生リーダーズスクール
ホームページURL

大学間連携の戦略と連携取組の趣旨・目的

異文化交流型リーダーシップ・ネットワークの必要性

大学教育において学生が、リーダーシップ力を身につけることについては、学士力、社会人基礎力、各大学ディプロマポリシーに限らず、経済界や地域社会からも大きな期待が寄せられ、本取組のステークホルダーからも強く求められています。しかしながら、専門領域に偏らないスタンダードなリーダーシップを体系的に提供する大学はほとんど見当たらないのが現状です。
そのような中、近年、学生の学びと成長を促す取り組みが、キャンパスの内外を問わず幅広く展開されています。しかし、慣れ親しんだ仲間との環境下では、それまでの関係を再構築しても、新たなリーダーやリーダーシップの醸成には限界があるとうかがえるので、学生の効果的・効率的な学びと成長を促すために、学内外、国内外に新たなフィールドを求め、「立場や世代間、文化背景の異なりを超えた(=異文化交流)」プログラムを拡充・拡大し学生に提供することが重要となります。

本取組は、将来、日本全国に展開するために、まずは西日本(関西・中国・四国・九州)の国・私立の10大学・短大が連携し、学生が「学内→国内→2国間→多国間」と段階的に立場や文化の差異を乗り越えながら、地域や国際社会で活躍するために求められるリーダーシップを体系的・継続的に養うことを目的とするプログラムである。

具体的には、以下の4つの事業に取り組む。なお、可能な限り本取組のプログラムや成果については、連携校以外の大学や社会にも広く提供する。

①体系的・段階的・継続的な学生リーダーリップ養成の普及

近年、市場経済のグローバル化に伴う求められる能力の多様化・流動化や情報社会への移行などを背景に、地域や国際社会で活躍する人材のリーダーシップ養成が、大学における喫緊の課題となっている。
また日本学生支援機構(JASSO)においては、平成21年度より学生支援の領域の中に「学生リーダーシップ養成」が含まれ、シンポジウムや調査研究プロジェクトも開始された。しかし、汎用的能力から語学力や専門知識までの広範囲にわたる資質能力を、正課教育・準正課教育・正課外活動を通して体系的・段階的・継続的に養成し、個々の学びの統合を支援する取り組みはほとんどない。
本取組の中核となるプログラムである愛媛大学リーダーズ・スクール(以下ELS)では、グローバル人材の定義で必要とされる資質能力をリーダーに必要な要素と位置づけ、体系的・段階的・継続的なプログラムを展開してきた。現在、その成果が認められ、手法の伝授や連携による取組の要望を多数の大学から受け、国内外でのリーダーシップ養成研修、地域リーダーとの連携プロジェクトを行っている。

②経験を学びに変える省察手法の標準化

成人の学習において、省察は経験を次の能動的な試みへと転換させるための大事なプロセスとして位置づけられている。また、大学生のリーダーシップ養成における省察についても複数の研究者がその重要性を指摘している。しかし、効果的な省察手法をリーダーシップ教育に取り入れ、標準化出来ている大学はほとんど見当たらない。
本取組では、学生リーダーシップ養成に高い効果があることが明らかになったELSの省察手法(教職員→学生同士→自分自身・自分史・ポートフォリオ等による省察)を標準化し、連携校間で活用することで、学生の経験に対する省察を支援する。また省察を習慣化させることにより「学び続けるリーダー」の養成を目指す。

③持続的なリーダーシップ養成のための教職員能力開発

大学における学生リーダーシップ養成の大きな課題に挙げられているのは、プログラムを実施する教職員の不足と能力向上である。
専門分野に特化しない学生のリーダーシップ養成プログラムが盛んな米国においては、養成のプロセスをより効果的なものにするために、教職員が重要な役割を担っていると考えられており、効果的なリーダーシップ養成に求められる大学首脳陣、教員、学生課職員の役割や資質能力まで整理されている。また、「高等教育におけるリーダーシップ開発の基本的目的は、より効果的に学生の学習と発達を高め、新しい知識を生み出し、地域に奉仕するように、教職員、学生また他のスタッフを教育、奨励すること・・・」がリーダーシップ研究者によって提唱されている。
本取組では、リーダーシップ養成に携わる教職員に求められる資質能力を養う研修を連携校間で実施し、学生対象の研修に教職員がスタッフとして関わることでの実践を通した教職員能力開発を行う。

④リーダーシップを培うための多様なフィールドの提供

ELSでは、リーダーシップ養成を、正課教育、準正課教育・正課外活動、多大学間・行政・NPO・海外の大学との活動など、多様なフィールドで展開してきた。この背景には、多様な価値や文化背景をもつ他者との関わりの中で学生が学ぶことの重要性や有効性がある。また、ELSでの実践と研究を通じて、学生の豊かな学びを促すためには、立場や年齢、文化背景を超えた活動場所の提供が必要であり、リーダーシップ向上にも効果的であることが明らかとなっている。これらを踏まえプログラム改善と開発を繰り返した結果、ELSのプログラムは多様なフィールドで展開されるものへと発展している。しかし、プログラムの質を高めながらより多くの学生に多様な活動場所を提供するためには、1大学だけの取り組みでは限界がある。
本取組では、中核となるELSプログラムを連携校に対し「学内→国内→2国間→多国間」と段階的に提供することや、各連携校で実施されているプログラムを共有することで、世代・立場・文化を超えてリーダーシップを発揮できる人材を育成する。

連携取組の達成目標・成果

本取組においては、関西・中国・四国・九州の4ブロックにおける10大学間での連携を予定している。支援機関終了時までに以下のとおり約2,000人・約50事業(年間)を実施する。

①体系的・段階的・継続的な学生リーダーリップ養成の普及

イ) 国内でのリーダーシップ養成研修【年間1500名】
ロ) 国外でのリーダーシップ研修(韓国・台湾・ハワイ・APSSAでの研修)【年間300名】
ハ) 学生リーダーシップ・カンファレンス【隔年300名】
ニ) リーダーシップ養成のための教材開発【平成26年度完了】
ホ) リーダーシップ評価指標開発【平成26年度完了】
ヘ) リーダーシップ養成プログラム効果測定・検証【平成27-28年度完了】
ト) リーダーシップ養成研修への講師派遣【年間20件】

②経験を学びに変える省察手法の標準化

イ) 教職員→学生同士→自分自身による省察手法の映像教材作成
ロ) 省察を促す自分史執筆マニュアル作成
ハ) ポートフォリオ作成マニュアル及び省察手法マニュアル作成

③持続的なリーダーシップ養成のための教職員能力開発

イ) リーダーシップ養成に携わる教職員の能力開発研修(国内・海外)【年間12回】
ロ) 経験を学びに変える省察手法研修【年間12回】
ハ) リーダーシップ養成に携わる教職員の人事交流【年間若干名】

④リーダーシップを培うための多様なフィールドの提供

イ) ピア・ビジット・プログラム(他大学での学生による学生のための出前講義)【年間10回】
ロ) 高大連携プログラム【年間5回】
ハ) 産学官連携プロジェクト【年間5事業】
ニ) 男女共同参画促進プログラム開発・実施【年間2事業】
ホ) 国際カンファレンス企画・運営【平成26年度100名、平成28年度50名】

支援期間終了後の取組

本補助金支援終了後は、連携校を西日本から日本全国に拡充し、本取組によるリーダーシップ能力開発手法の普及とプログラムの共同利用及び学生リーダーシップ養成に関わる教職員の能力開発についても大学や地域・国境の垣根を越えて、広げていくことを目指す。

また、APSSA(アジア太平洋学生支援協会)との連携を強化し、アジア太平洋地域各大学との連携事業に発展させ、グローバルな人材の育成を図るものとする。さらに、各大学、ステークホルダーが連携・協力しながら、事業の見直し・拡充することで、最少の費用で実施が可能となる。それに加え、大学のFD・SD研修、ステークホルダーの各種研修を利用して、プログラムや評価手法の共有を図りながら指導者の養成も可能となり、持続発展可能な能力開発と併せて行う。