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広島経済大学

〒731-0192 広島市安佐南区祇園5−37−1

研究紹介

格子QCD計算

量子色力学:Quantum ChromoDynamics(QCD)は自然界の4つの力のうち強い力を記述する理論である。QCDはクォークの振る舞いを記述するがその非摂動領域の理論計算は非常に困難である。格子QCD計算はQCDの非摂動領域を明らかにする手法である。格子QCDに関する以下のような研究を行っている。

高並列計算機富士通AP1000用の格子 QCD 計算プログラムを開発し、その性能を測定した。モンテカルロ繰り込み群解析とハドロン質量計算への応用ではこの計算機は高い計算性能があることが示された。
Quantum chromodynamics simulations on a non-dedicated highly parallel computer
Computer Physics Communications 90 (1995) pp.210〜214

ストレインジとチャームクォークから成るメソン及びバリオンの質量を格子 QCD計算よりもとめた。そして、まだ実験的に観測されていないハドロンの質量を予測した。
並列計算機上における乱数の生成法を研究し、有効に働くシフトレジスターを使った乱数生成法を与えた。
Strange and charmed hadron spectroscopy on a 32^3×48 lattice at β=6.3
Nuclear Physics B460 (1996) pp.413〜426

SU(3) ゲージ配位上においてカノニカルデーモン法が有効であることを示した。カノニカルデーモン法をブロッキングされたゲージ配位上に応用して7次元の結合定数の空間上で有効作用を決定することに成功した。
Determination of effective actions for SU(3) lattice gauge theory
Modern Physics Letters A 10 (1995) pp.503〜513

ブロッキングされた SU(3)ゲージ配位上で重クォーク間に働くポテンシャルを測定しブロッキングされた配位上では回転対称性がよく成り立っていることを発見した。また、ブロッキングされた配位上で様々な形の有効作用を決定した。
Heavy quark potential and effective actions on blocked configurations
Physical Review D 54 (1996) pp.1050〜1053

マルチボゾン法を利用してフレーバー数が1の格子QCD計算を有限温度で実行した。有限温度相転移の次数がクォーク質量によってどのように変化するかを調べ、パラメータのκが0.08で1次相転移のエンドポイントになることを見つけた。
The Deconfinement Phase Transition in One-Flavour QCD
Physical Review D 60 (1999) 34504

格子SU(3)ゲージ理論における繰り込み群フローを2つの結合定数の空間において調べた。Swendsenのファクター2ブロッキングとシュインガー−ダイソン法により繰り込み群フローを調べ有効作用を決定した。
Renormalization group flow of SU(3) lattice gauge theory - Numerical studies in a two coupling space
Nuclear Physics B 577 (2000) pp.263〜278

ハイブリッドモンテカルロ法において高次の積分法を利用したときの有効性を研究した。有効性は系のサイズに強く依存することが判明した。
Choice of Integrator in the Hybrid Monte Carlo Algorithm
Computer Physics Communications 133 (2000) pp.6〜17

有限温度におけるメソン質量の変化を調べた。転移温度以下ではメソンの性質はあまり変化しないが、転移温度以上になるとカイラルシンメトリーが回復し、グルーオンプラズマの兆候を見せることがわかった。
Meson Correlators in Finite Temperature Lattice QCD
Physical Review D 63 (2001) 54501

従来のハイブリッドモンテカルロ法では奇数フレーバーのシミュレーションを実行することができない。本研究ではフェルミオン行列の逆行列を多項式で近似することによって奇数フレーバーのシミュレーションが可能なハイブリッドモンテカルロ法を開発した。
Odd-flavor Hybrid Monte Carlo Algorithm for Lattice QCD
International Journal of Modern Physics C13 (2002) pp.343〜366

高次積分法を利用したハイブリッドモンテカルロ法の有効性を有限温度の格子QCDにおいて調べた。有限温度で調べたところある程度大きな格子上では高次積分法が有効になることが判明した。
Higher Order Hybrid Monte Carlo at Finite Temperature
Physics Letters B 540 (2002) pp.159〜165

化学ポテンシャルに対するクォークコンデンセイトの反応の温度依存性をNJLモデルにおいて調べた。結果を格子QCD計算と比較すると定性的には一致していることがわかった。
Responses of quark condensates to the chemical potential
Physical Review D 66 (2002) 77502

これまでに行われてきた有限密度格子QCD計算の結果をまとめた。
Lattice QCD at Finite Density -- An introductory review
Progress of Theoretical Physics 110 (2003) pp.615〜668

クエンチ近似において標準の相対論形式を用いてチャーモニウムの性質を研究した。連続極限におけるハイパーファインスプリティングを求めたが、実験値より30%小さい値であった。これはクエンチ近似の影響とOZI禁止ダイアグラムの影響のためと思われる。
Quenched charmonium spectrum
Journal of High Energy Physics 0308 (2003) 22

状態密度法によりアイソスピン密度状態における格子QCD計算を行った。状態密度法を利用すると任意の結合定数やフレーバー数、クォーク質量における物理量を一度に計算できるという利点がある。カイラルコンデンセイトをR-アルゴリズム法より求めた値と比較するよく一致していることがわかった。
Density of States Method at Finite Isospin Density
Modern Physics Letters A19 (2004) pp.909〜920

有限密度におけるハドロンのスクリーニング質量を相転移近傍で調べた。有限密度の効果はテイラー展開を利用して求めた。転移温度以上ではメソン質量の2階微分は急激に大きくなることが判明した。
Properties of hadron screening masses at small baryonic density
Physics Letters B 609 (2005) pp.265〜270

Omelyanらによって新たに求められた2次の積分法を格子QCD計算のハイブリッドモンテカルロ法に利用してその有効性を調べた。結果は、従来の2次のリープフロッグ法よりも50%程有効性が高まることがわかった。
Testing and tuning symplectic integrators for Hybrid Monte Carlo algorithm in lattice QCD
Physical Review E 73 (2006) 36706


Simulations of one-flavor QCD at finite temperature by RHMC
Proceedings of Science LAT2007, 229

Eigenvalue distributions of the Dirac operator at finite isospin chemical potential
Proceedings of Science LAT2008, 181

Finite Density QCD with Wilson Fermions
Proceedings of Science  LAT2008, 190

Equation of State at Finite Density from Imaginary Chemical Potential
Proceedings of Science  LAT2009, 198

Fast fermion Monte Carlo
Nuclear Physics B (Proc.Suppl.)53 pp.968−970


コンピュータによる経済時系列研究


金融時系列データを用いた時系列モデリングやデータ解析を行っている。また、金融市場のコンピュータシミュレーションによって金融市場のダイナミクスの研究も行っている。

SVモデルのベイズ推定


Stochastic Volatility (SV) モデルは尤度が解析的に求まらないので、マルコフ連鎖モンテカルロ法によるパラメータ推定がよく利用される。ここでは、マルコフ連鎖モンテカルロ法としてハイブリッドモンテカルロ法とメトロポリス法を用いて両者を比較した。そして、ハイブリッドモンテカルロ法の方がボラティリティ変数の相関を早く減少させることがわかった。また、円とドルの為替ーレートデータを使ったパラメータ推定も行った。
Financial Time Series Analysis of SV Model by Hybrid Monte Carlo
Lecture Notes in Computer Science Volume 5226 pp.929−936

Bayesian inference of Stochastic Volatility Model by Hybrid Monte Carlo
Journal of Circuits, Systems, and Computers, 18 pp.1381-1396

GPU計算によるRSVモデルのベイズ推定


Realized Stochastic Volatility (RSV)モデルのベイズ推定において、ハイブリッドモンテカルロ法を利用した。
ハイブリッドモンテカルロ法は並列計算が可能であるので、パソコンによるGPU計算を行った。パソコンのCPU計算に比べてGPU計算のほうが高速に計算できることが分かった。
GPU計算のコードはOpenACCを利用して開発を行った。適切なOpenACCのディレクティブ挿入によってCUDAプログラムと同等の計算速度を達成できることが分かった。
現在、多変量のRSVモデルの推定をハイブリッドモンテカルロ法によって実行するプログラムを開発中である。

An application of the hybrid Monte Carlo algorithm for realized stochastic volatility model
Proceedings of Science

GPU Computing in Bayesian Inference of Realized Stochastic Volatility Model
Journal of Physics: Conference Series 574 (2015) 012143
DOI: 10.1088/1742-6596/574/1/012143
Bayesian estimation of realized stochastic volatility model by Hybrid Monte Carlo algorithm
Journal of Physics: Conference Series 490 (2014) 012092
DOI:10.1088/1742-6596/490/1/012092

ハイブリッドモンテカルロ法によるGARCHモデルの推定

GARCHモデルの推定には最尤法が良く利用されるが、ここではマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた。更に、マルコフ連鎖モンテカルロ法をハイブリッドモンテカルロ法を利用して実行した。
Bayesian estimation of GARCH model by hybrid Monte Carlo
Proceedings of the 9th Joint Conference on Information Sciences 2006 214

スピンモデルによる金融市場のシミュレーション

株価や為替レートの収益率が見せる性質:(1)収益率の分布は正規分布からずれて裾野の広がった分布をしている(ファットテイル分布)。(2)収益率の時間相関はすぐなくなるが、絶対値の相関は長時間残る。このような性質が単純な物理モデルで出るかどうかを調べた。モデルは3状態ポッツモデルを利用した。3つの状態には買う、売る、何もしないという状態を対応させる。相互作用としてはローカルには他を真似る(多数派に属しようとする)作用を、グローバルには他とは反対にしようとする(少数派に属しようとする)作用を入れる。シミュレーションの結果、収益率は実際の市場の収益率と似た性質を示した。収益率分布の裾野はべき乗になるが、パラメータを変化させることによって指数的になった。これは、インドなどのエマージング市場の収益率分布に現れる性質と似ている。
Simulations of financial markets in a Potts-like model
Int. J. Mod. Phys. C 16 (21005) 1311

Realized Volatility Analysis in A Spin Model of Financial Markets
JPS Conference Proceedings 1 (2014) 019007

Analysis of Spin Financial Market by GARCH Model
Journal of Physics: Conference Series 454 (2013) 012041

Multiple Time Series Ising Model for Financial Market Simulations
Journal of Physics: Conference Series 574 (2015) 012149
DOI: 10.1088/1742-6596/574/1/012149

Some properties of multiple time series Ising model in financial market simulations
2015 IEEE International conference on Cyber Technology in Automation, Control, and Intelligent Systems (CYBER)
DOI: 10.1109/CYBER.2015.7287918

実現ボラティリティ分析

高頻度データ解析により、ボラティリティ分布を求め、その分布が逆ガンマ分布でよく表されることが分かった。Superstatisticsにおいて、逆ガンマ分布の場合は収益率の無条件分布がスチューデントt分布で表される裾野の厚い分布になることが分かった。
Analysis of Realized Volatility in Superstatistics
Evolutionary and Institutional Economic Review 7(1) (2010) pp. 89-99

Analysis of Realized Volatility in Two Trading Sessions of the Japanese Stock Market
Progress of Theoretical Physics Supplements 194 (2012) pp.43-54

Finite-Sample Effects on the Standardized Returns of the Tokyo Stock Exchange
Procedia - Social and Behavioral Sciences 65 (2012) pp.968-973

Realized Volatility and Absolute Return Volatility:A Comparison Indicating Market Risk
PLOS ONE, Volume 9 (2014) e102940


Markov Chain Monte Carlo versus Importance Sampling in Bayesian Inference of the GARCH model
Procedia Computer Science 22 (2013) pp.1056-1065


Box-Cox transformation of firm size data in statistical analysis
Journal of Physics: Conference Series 490 (2014) 012182

Bayesian inference with an adaptive proposal density for GARCH models
Journal of Physics: Conference Series 221 (2010) 012011

Markov Chain Monte Carlo on Asymmetric GARCH Model Using the Adaptive Construction Scheme
Lecture Notes in Computer Science Volume 5754 (2009) pp.1112−1121

GARCHモデルの誤差項に分数関数を使ったモデルを提唱し、実証分析を行った。
Bayesian Inference of the GARCH model with Rational Errors


研究発表ファイル

研究発表で利用したファイルのいくつかを紹介します。

   


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高石研究室

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広島市安佐南区祇園5−37−1
高石哲弥